私は、金属そのものの色が大好きです。
だからチタンやステンレスは、あえてペイントをせずに仕上げることが多いんです。ポリッシュやヘアライン、サンドブラストで表現して、その素材の魅力を引き出します。
チタンとステンレスって、見た目はすごく似ているんですが、実は微妙に違うんですよ。
チタンは人肌のような温かみのあるシルバー。
ステンレスは少し青みがかったクールなシルバー。
写真に撮ってもなかなか伝わらないんですが、このほんの少しの違いに、私はいつもビリビリっと心を揺さぶられるんです(笑)。
しかもチタンだけは「陽極酸化着色」ができるんです。これをすると「あ、チタンバイクだ!」って分かるような、ある意味で証のようなもの。こういうのって、すごくかっこいいと思います。
最近はお客様からのリクエストで、チタンやステンレスにもペイントをするようになりました。
では、クロモリは?というと……クロモリは錆びるので、以前は防錆のためにペイントをしていました。今はまずメッキをして、その上にペイントを重ねています。
ペイントは1色だけのシンプルなものから、多色使いや描写までさまざま。
最近はお客様に「テーマ」を決めてもらって、そのイメージに合わせてデザインを起こすのがとても楽しいんです。
例えば「桜、上品さ」というテーマで作ったフレームがあります(写真)。芸大で学んだことを最大限に活かせる瞬間ですね。
銅の緑青をイメージした表現や、イラストを取り入れるなど、アート的なアプローチもできます。
お客様の想いを形にしていくことが、私にとっていちばんの喜びです。
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MULLERの表面処理工房は「Studio XYZ」。
ここについては、また次の記事でお話ししますね。
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