人に寄り添うデザインはいかにして生まれたのか。
私にとっての“美しさ”って、
見た目の派手さでも、曲線の美でもなくて、
人の身体や暮らしに寄り添った“心地よさ”なんです。
昔、父が話してくれたことがあります。
彼が手がけた眼科の建物の話。
「診察室の中を、電気を消しただけで、昼間でも一瞬で暗くできるように設計した」と。
それは、カーテンを引くためじゃなくて、
太陽の動きそのものを設計に取り入れたというものでした。
階段の幅や高さひとつとっても、
どんな年齢や体調の人でも、楽に昇り降りできるように。
目立たないけれど、ちゃんと“人”を見つめた設計。
この父の教えが、私の中の「デザインとは何か?」という原点になっています。
だから私にとって、
バイクをデザインするというのは、単にカタチをつくることではなくて、
“その人がどう走るか”“どんな体でどう力を伝えるか”を考えること。
チューブのしなりや角度、重心の位置、手の位置、脚の動き。
それをバランスよく導き出してあげることが、本当の設計だと思っています。
もちろんモデルごとにベースの形はあるけれど、
そこから先は、その人の世界観やライフスタイルに合わせて、
「どう在るか」をデザインする。
それがMULLERの考える、“人に寄り添う美しさ”です。
素材がチタンかステンレスかクロモリか、というのはあくまで手段。
“モダンに見えるかどうか”は素材のせいではなく、
使う人の生き方や在り方によって決まるものなんじゃないかなと思うんです。
洗練された感性で乗られるバイクは、
どんな素材であっても、美しく育っていく。
私は毎日それを、しみじみと実感しています。
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